メールでのお問い合わせはこちら
0574-54-2737
木のこだわり手作り家具
お客様の声 手仕事にこだわる半布里工房とは 手作り家具ができるまで 家具のベントや展示会
よくあるご質問 木になる話(木の豆知識)
ダイニングテーブルなどのお問い合わせ オーダー家具のご注文 トップページに戻る
木の手作り椅子
  1. トップページ
  2. 木になる話
  3. どんな機械を使うか
木になる話
木になる話
どんな機械を使うか
当工房は木工所はもちろんの事、数ある工房の中でも機械設備の数は少ない方だと思います。当工房が保有している木工機械や電動工具は以下の通りです。
・手押し鉋盤
・昇降盤
・自動鉋盤
・横切り盤
・バンドソー(挽き割り用)
・バンドソー(回し挽き用)
・角のみ盤
・ボール盤
・糸のこ盤
・木工ろくろ
・集塵機
・電動のこぎり
・ハンドルーター
・トリマー
・各種サンダー
・電動鉋
・インパクトドライバー
・コードレスドライバー
・タッカー
・ディスクグラインダー
・電気ドリル
どれも必要最低限の基本的な機械だと思います。(詳しくは「半布里工房の機械設備」もご覧下さい。) この他にも木工機械には様々なものがあります。ポピュラーなものを挙げると…
・ルーターマシーン
・サンダー(ベルトサンダー)
・3点ベルトサンダー
・スポンジサンダー
・面取り盤
・軸傾斜のこぎり盤
・ホゾ取り盤
・ワイドサンダー
・プレス機
・組み立て機
・パネルソー
・コーナーロッキングマシーン
・ダブテールマシーン
・リップソー(挽き割り機)
・超仕上げ鉋盤
などがあります。(以上は、私がまだ木工所で修業をしていた頃に実際に使っていた機械です。もちろんこの他にも数限りなくあります。)コンピューター制御の大型マシーン(NC)などもありますが、これらの機械は加工速度も速く精度も高く、あれば大変便利なものです。

私が勤めていた木工所は飛騨高山近郊の主に脚物(椅子とかテーブル)を制作する会社でした。従業員も少ない小さな木工所(正社員は社長を除いて4人ぐらいで、パートの方が3人ぐらい)でしたが、大量生産の木工所でしたので、例えば2週間で椅子を200本ぐらい制作するという感じでした。ですからスピードと精度が命です。上記のような機械設備が無ければ絶対に無理な話です。2年間で以上のような機械をほぼ一通り使う事ができるようにして頂いた会社や社長には今でも感謝しています。

ベルトサンダーさて、私がいよいよ独立して工房を始めようと考えた時、当然のことながら機械設備の準備が必要となりました。その時に思った事があります。それは…「ベルトサンダーとルーターマシーンは絶対使わない」という事でした。

「ベルトサンダー」や「ルーターマシーン」は、個人の工房の人でも多くの人が所有して使っていると思います。特に「ベルトサンダー」などはほぼ「必需品」と言っていいぐらいではないでしょうか。「えっ?持ってないの!」とびっくりされても不思議ではないと思います。

ルーターマシーンルーターマシーンだって同じ事です。この機械があればかなり難しい加工も、あるいは自分の思い描くイメージのラインも実現が限りなく可能になってくるのです。「サンダー」「ルーター」そしてもう一つ挙げるなら「面取り盤」…この3つがあれば格段に表現能力が広がり加工スピードや精度が上がります。

私は木工所で働いている時、これらの機械を日常的に使っていました。全く便利で、あっという間に加工ができます。しかし思ったのです。「この機械があったら、便利だから全てこの機械に頼ってしまいそうだな。この機械があれば鉋などの手道具は必要なくなってしまうな」(意志が弱いと言われればそれまでです。そうです。そこまで意志を強く持ち続ける自信は私にはありません。いや、私だけでなくきっと多くの人はそうなってしまうはずです。そうならない強い意志を持っている方は本当に尊敬します。)

「それにこの機械を使う限り、(ディーテールの部分において)『この機械が作った』家具になってしまう事だろうな」それは厭だと。やはりこの機械を使わない事で出来上がる商品は、何かディーテールの部分において違いが出てくるはずだと。例えば微妙なラインや手触り、シルエットの違いなど…手仕上げだからこそ生まれる形にこだわりたいという気持ちからそう決断しました。

中には「自分が仕事をするのではなくて機械が仕事をする」と言われる方も見えます。
「機械を自由自在に自分の手同然に使いこなす技術があってこその木工である」という意味だと思うし、それはそれで否定はしません。現状を肯定しながらさらに高度な加工を目指すという意味ではそれが正しいと思います。

でも私はちょっと違うものづくりの方向があると思っています。いわば、決してたどり着かないかもしれませんが、ある意味理想の物づくりの方向が別にあると思っています。それに(手工具を含めて)「こんなものが作りたいからこんな道具を揃えよう」というのではなく「こんな道具だからこんなものが生まれた」という事があってもいいと思います。例えばアフリカの民族彫刻などは数少ない鑿だけで実に味わいのある彫刻を生み出しているではありませんか。

それでこの二つは設備に入れませんでした。他の機械はもちろん個人の工房にはぜいたく品です。それでも時々「サンダーがあったらなあ…」「ルーターを買っちゃおうかな」と気持ちが揺らぐ事はあります。でも初心忘れるべからずで何とか今に至っています。というわけで、当工房の作品にはそういった何かしらの違いがそこはかとなく表れているはずだと信じて今日も仕事をしています。

※最後に書いておきますが、どんな機械を設備するかという事はその工房のポリシーやどんなものを作るかという事に関わってくる事であります。「機械を多く使って加工をする=大量生産、クラフトマンシップに外れる」などと言うつもりは毛頭ありません。その点誤解の無いようにお願い致します。現に、中規模の木工所と変わらないような様々な機械を使いこなして、さらに高度な手加工の技術も駆使して、私などは到底及ばない素晴らしいクラフトマンシップあふれる作品を作り出しておられる方は見えます。